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平成27年度 英知を結集した原子力科学技術・人材育成事業 原子力基礎基盤戦略研究プログラム 廃炉加速化プログラム 選定課題

■廃炉加速化研究プログラム: 合計9課題

No. 提案課題名 研究代表者
[所属機関]
参画機関 概要
国内研究 計5課題
【テーマ1】燃料デブリ取出しに関する研究
1 沸騰水型軽水炉過酷事故後の燃料デブリ取り出しアクセス性に関する研究
小林 能直
[東京工業大学]
東北大学、日本原子力研究開発機構 福島第一原発のデブリへのアクセスルートの検討に重要な、炉心支持板以下の構造物の破損進展の予測評価に資するため、制御棒や燃料の溶融物と炉心支持板以下の構造の模擬体を用いた試験と流体・伝熱解析により、炉心支持板以下の構造物において破損進展が大規模に進展する条件を明らかにする。福島事故で予想されている事故条件を反映した解析を行い、下部ヘッドの破損状態の予測評価を試みる。
2 多核種高除染性空気浄化システム開発による作業被曝低減化研究
奈良林 直
[北海道大学]
東北大学 福島第一原子力発電所のデブリ取り出し等の廃炉作業において発生する多核種のエアロゾルやヒュームなどの放射性物質を効率的に除去するため、湿式フィルター・乾式ファイバーフィルター、銀ゼオライトなどの多様なフィルターの組み合わせにより総合吸着性能を向上させる基礎研究を基に作業被曝低減化や環境への飛散を防止する空気浄化システムを開発する。
3 先進的光計測技術を駆使した炉内デブリ組成遠隔その場分析法の高度化研究
若井田 育夫
[日本原子力研究開発機構]
イマジニアリング株式会社、京都大学 福島第一原子力発電所の廃炉においては、溶融デブリや不明物の組成を、その場で迅速に実測する技術が求められる。そこで本課題では、耐放射線性光ファイバーを用いてレーザー光を遠隔搬送し、レーザー誘起プラズマ発光分光法(LIBS)により組成を遠隔で分析する技術を基本技術とし、光源にエネルギーの高いロングパルスレーザーを導入したり、マイクロ波照射を併用したりしてプラズマ原子発光量の着実な増大を図り、過酷環境下におけるデブリの遠隔その場分析性能の高度化を図る。併せて、ロングパルスレーザー照射による水中懸濁微粒子組成の直接分析の可能性を評価する。
【テーマ2】廃棄物を含めた環境対策に関する研究
4 革新的ナノ構造金属酸化物による放射性物質除去法の新展開
浅尾 直樹
[信州大学]
(他部門連携) 放射性汚染水による環境汚染を防ぐため、ストロンチウムイオンやセシウムイオンなどの放射性核種を効率的に捕捉して安全に貯蔵できる金属酸化物ナノ材料を開発する。
5 発電所隣接サイト外領域における放射性核種の環境動態特性に基づくサイト内放射性核種インベントリ評価に関する研究
飯島 和毅
[日本原子力研究開発機構]
京都大学、福島大学、国立科学博物館 本研究では、福島第一原子力発電所(1F)の廃炉作業を進める際に、環境中から発生する多種多様な固体廃棄物のインベントリを定量的に評価するため、1Fサイト外領域における核種の濃度、表土中・樹木中の分布状況、飛散物の化学形態等の距離依存性、方位依存性および時間依存性を系統的に評価し、その依存性に基づくサイト内各地点における核種インベントリを評価する手法の確立を目指す。
日英原子力共同研究 計4課題
【テーマ1】燃料デブリ取出しに関する研究
1 プラント内線量率分布評価と水中デブリ探査に係る技術開発
片倉 純一
[長岡技術科学大学]
日本原子力研究開発機構、海上技術安全研究所 燃料デブリ取出しを加速するために有効な2つの基盤技術開発を行う。第1の「線量率分布評価技術開発」では、燃料の燃焼計算等の解析と炉内調査による線量率実測値を用い、最確なプラント内の線源及び線量率分布を評価する手法を確立する。第2の「水中燃料デブリ探索技術開発」では、燃料デブリの位置等の把握のため、高線量環境で使用できる超音波によるソナー及び小型の中性子検出器の開発、これらを搭載した水中ロボットの技術的成立性を、水中試験等により明らかにする。
2 漏洩箇所特定とデブリ性状把握のためのロボット搬送超音波インテグレーション
木倉 宏成
[東京工業大学]
岡山大学、エネルギー総合工学研究所 溶融燃料デブリの取り出しの実現に向けて、英国との共同研究により、従来の超音波探傷法と超音波流速分布計法(UVP法)の信号処理技術を応用し、物体周りの形状と流れ場を同時計測可能な開口合成ベクトルマップ法を開発し、デブリ形状を把握し、かつ炉内冷却水漏洩箇所を特定できる新しい超音波計測技術の開発を行うと共に、SLAM技術を応用した自己位置同定技術と超音波計測を組合せたロボット搬送システム開発により、廃炉の加速化に貢献する。
【テーマ2】廃棄物を含めた環境対策に関する研究
3 高汚染吸着材廃棄物の処理処分技術の確立と高度化
稲垣 八穂広
[九州大学]
東北大学 福島第一原子力発電所の廃炉作業で発生する主要な廃棄物の一つと考えられる各種吸着材廃棄物について、その安全で合理的な処理?処分方法を確立することを目的とし、最適な安定固化処理方法を実験的、解析的に評価する。安定固化処理方法(溶融ガラス固化、HIP固化)については、固化体の製造容易性と貯蔵?処分時の化学的安定性の観点から評価し、固化体の性能評価(減容率、核種固定化率、熱的特性、化学的耐久性、等)と合わせて総合性能の観点から最適な処理?処分方法を提案する。
4 汚染水処理二次廃棄物スラリー及び濃縮廃液の安全な長期貯蔵・処理・処分のための脱水固定化技術の開発
目黒 義弘
[日本原子力研究開発機構]
北海道大学、アドバンエンジ株式会社 高濃度放射性Sr及び海水成分を含む汚染水処理二次廃棄物の安全な貯蔵・処理・処分のために水分量を最小限に抑えた新しい固定化技術を開発することを目指して、水和反応ではなく酸塩基反応による硬化、リン酸系材料中へのSr及びClの固定化、及び加熱脱水による水分量を低下させる固化体作製技術の開発とその長期安定性評価を実施する。