英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業 > 研究分野の紹介 > 令和8年度 英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業 課題解決型廃炉研究プログラム 選定課題

令和8年度 英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業 課題解決型廃炉研究プログラム 選定課題

■課題解決型廃炉研究プログラム 合計5課題

■令和8年度選定課題(4,000万円以内):3課題

No. 提案課題名 研究代表者
[所属機関]
参画機関 概要
1 磁気力を活用したスラリー状燃料デブリの安全かつ高効率な密閉統合型捕集・脱水・乾燥処理システムの開発 秋山 庸子
[大阪大学]
京都大学、福井工業大学、株式会社ICUS、神戸大学、宇都宮大学 本研究は、福島第一原子力発電所廃炉において発生するスラリー状燃料デブリ(粒径0.1µm~数十µm)、を対象に、磁気力を活用した捕集・脱水・乾燥を一体化した密閉型のシステムの確立を目的とする。既存技術である凝集沈降法や膜分離法を活用した手法は、処理時間の長さや目詰まり、乾燥効率の低さ、メンテナンス性、二次廃棄物量の多さが課題である。本研究では、非磁性粒子に凝集剤と少量の強磁性粒子(マグネタイト)を添加して強磁性フロック化し、磁石により高速捕集・引上げ後、同一装置内で脱水・乾燥・収納までを密閉系の1つの装置で完結する手法を提案する。これにより、含水率1%以下への迅速な乾燥と、高い固形分回収率(捕集率99.9%以上、分離後SS濃度10ppm以下)を両立し、構造の単純なシステムで、水処理工程の大幅な簡素化と遠隔操作性の向上を実現する。さらに、既存技術との定量比較および実規模装置の概念設計を通じて、安全性・処理性能・維持管理性を客観的に総合評価し、廃炉における合理的な捕集・脱水・乾燥処理と、それによる二次廃棄物低減に貢献する。
2 クリアランスにおけるC-14評価の革新:量・同位体比・化学形態を統合した分光分析基盤の構築 寺林 稜平
[名古屋大学]
日本原子力研究開発機構 本研究は、福島廃炉における固体廃棄物のクリアランスを律速する放射性炭素(14C)分析の高度化を目的とする。14Cは長期線量評価において支配核種となる一方、天然存在量がクリアランス基準に近接し、化学形態により移行挙動が大きく異なるため評価が困難である。既往手法(β線計数、質量分析)には感度・迅速性・処理量・化学形態評価の観点で課題があり、合理的な処分判断を阻害している。本研究では、中赤外レーザー分光技術(CRDS)を核として「量」「同位体比」「化学形態」を統合的に取得可能な14C迅速分析基盤を構築する。具体的には、コンクリート試料中炭素をCO2として抽出・導入するガス化・濃縮系と分光計測系を統合し、無機炭素(IC)および有機炭素(TC)中14C分離評価を可能とする。さらに、先進分光技術の導入による性能向上を実現し、装置を大洗研FMFへ移設し、福島実試料分析実証を通して固体廃棄物中14Cの統合的評価基盤を構築し、クリアランス判断の高度化と迅速化に貢献する。
3 PCV気相漏洩位置及び漏洩量推定のための遠隔光計測技術の実装 椎名 達雄
[千葉大学]
公益財団法人レーザー技術総合研究所、日本原子力研究開発機構 福島第一原子力発電所では、2011年の震災被害によって原子炉格納容器(PCV)に損傷が生じた。水素爆発を未然に防ぐべく、PCV内部は窒素封入によって微正圧に保たれているが、上部気相部で建屋内への漏洩が生じている。本グループでは令和5年度より3年間の本事業においてライダーとシアログラフィーを用いる光遠隔計測により、漏洩位置の特定と可視化に関する技術開発を進めてきた。その成果として、ライダーでは距離30mの想定エリア内で最小0.5W(=10µJ/pulse)の光出力により、漏洩窒素ガス量1.4L/min、位置分解能~10cmの条件下での漏洩ガスの検知を実現した。合わせてシアログラフィーによって漏洩位置の断面画像内で漏洩の可視化を実現するなど、要素技術として十分な位置検出の感度と漏洩量計測の定量性を確認した。本研究では、3年間に得られた知見に立脚した新規の測定手法の提案を含め、開発した技術を実際の漏洩検知に向けて実装するため、以下の課題解決を目指す。
1. 小型化:30–45cm立方を目標に、機器の小型化・軽量化と安全性の確保を目指す。
2. 高分解能化:配管接続部や亀裂からの漏洩を想定し、分解能~1cmを目指す。
3. 機能化:作業現場で設置後、自動で稼働、データ収集できるようシステム化を図る。
4. 走査計測:計測対象エリアの走査計測を行う際の速度、空間分解能を明示し、把握可能な空間情報の具体化を目指す。

■令和8年度選定課題(2,000万円以内):2課題

No. 提案課題名 研究代表者
[所属機関]
参画機関 概要
1 耐放射線性無線給電システムの要素技術開発(送電及び伝搬) 原 信二
[名古屋大学]
仙台高等専門学校、秋田県立大学 人間が直接アクセスできない原子炉格納容器・原子炉圧力容器内でカメラ、Wi-Fi子機、LED照明等に給電するための耐放射線性マイクロ波無線給電システムの要素技術開発を行う。マイクロ波給電方式は狭隘かつ多くの構造物が乱雑に存在する格納容器、圧力容器内でも極端な指向性を持たず、デブリ取り出し作業の障害となりにくい。格納容器、圧力容器内における電波伝搬状況を測定およびシミュレーションを通じて確認してマイクロ波給電に適した周波数を設定するとともに、マイクロ波給電におけるキーコンポーネントとなる送電用パワーアンプの開発を行う。
2 性状不確実性を考慮した解体廃棄物中核種濃度の新しい推定手法 羽田野 祐子
[筑波大学]
日本原子力研究開発機構 福島第一原子力発電所の解体廃棄物を対象として、少数サンプルかつ放射性核種濃度の上限超過が許されない厳しい制約条件のもとで、廃棄物中核種濃度を安全側に推定する統計的手法を開発する。Cs-137を中心とした実測データを用いた濃度範囲の推定法を確立するとともに、C-14等の難測定核種についても適用可能な評価枠組みを検討し、解体廃棄物管理および将来的なデブリ評価への展開を目指す。