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令和元年度(平成31年度) 英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業 課題解決型廃炉研究プログラム 選定課題

■課題解決型廃炉研究プログラム:合計4課題

No. 提案課題名 研究代表者
[所属機関]
参画機関 概要
1 Multi-Physicsモデリングによる福島2・3号機ペデスタル燃料デブリ深さ方向の性状同定 山路 哲史
[早稲田大学]
大阪大学、日本原子力研究開発機構 福島廃炉のためには炉内状況把握の更新が必要であり、燃料デブリ(構造材を含む)の深さ方向分布や性状を把握できれば取り出し作業の安全性が向上し、工法・機器の設計や臨界管理を飛躍的に合理化できる。また、燃料デブリに多量のウランが存在する可能性を合理的に排除できれば、臨界管理が不要になる。固液の移行及び界面の機構論的な追跡が可能な粒子法、模擬デブリ流下実験、高温融体物性データ整備により、Multi-Physicsモデリングによる燃料デブリ深さ方向の性状同定に取り組む。
2 燃料デブリ取出しに伴い発生する廃棄物のフッ化技術を用いた分別方法の研究開発 渡邉 大輔
[日立GEニュークリア・エナジー株式会社]
埼玉大学、日本原子力研究開発機構 廃棄物とフッ素を反応させて核燃料物質を選択的に分離する方法を開発する。模擬廃棄物とチェルノブイリ実デブリのフッ化挙動を実験により把握し、核燃料物質の分離可否を評価する。また、シミュレーションコードを作成し、フッ化プロセスを検討・構築する。上記を通じて、廃棄物を核燃料物質と核燃料物質が分離された廃棄物とに合理的に分別する方法を検討する計画は、2021年以降のデブリ取出しで発生する廃棄物の管理容易化に資する。
3 アパタイトセラミックスによるALPS沈殿系廃棄物の安定固化技術の開発 塚原 剛彦
[東京工業大学]
電力中央研究所、日本原子力研究開発機構 長期的なリスクが高い分類Ⅲに該当している水処理2次廃棄物のうち、大部分を占めているALPS沈殿系廃棄物(炭酸塩スラリー4923m3、鉄共沈スラリー955m3)には、大量の90Sr(~107 Bq/cm3)の他、137Csや54Mn、60Coも含まれる。既存の廃棄物固化技術の課題を解決するために、安定固化体として注目しているアパタイトセラミックスは、ALPS沈殿系廃棄物の主成分であるCa、Mg、Feと放射性元素の大部分を占めるSr、Csを500℃程度の低温で骨格構造にそのまま取り込むことができ、低温合成のためCsは揮発されにくく、固定化された金属は水に溶出されにくい。またアパタイトには水和物が含有されず水素発生も起こらない。アパタイト合成手法やその構造解析を通してアパタイト製造の基盤技術を確立し、小規模プロセスフロー試験、工学規模製造試験を実施する。
4 拡張型スーパードラゴン多関節ロボットアームによる圧力容器内燃料デブリ調査への挑戦 高橋 秀治
[東京工業大学]
日本原子力研究開発機構 廃炉の加速化のためには圧力容器内部の損傷炉内構造物や燃料デブリの状況把握が重要となる。そのため、ペデスタル上部に位置する圧力容器底部の状況把握を目的として、独自に開発した超長尺の多関節ロボットアームにより、手先の位置姿勢を6自由度制御しながらペデスタル内へ侵入し、カメラのSfM(Structure from Motion)技術および超音波計測技術によりアーム先端部の自己位置を把握しながら炉内構造物の状況把握を行うとともに、レーザーを用いたLIBS(Laser-Induced Breakdown Spectroscopy)技術により核物質の分布状況把握を行う遠隔探査手法のアームへの実装技術を開発する。さらには、数値計算による取得データの補完も考慮しつつ、楢葉遠隔技術開発センター、そして、廃止措置中の発電所等も活用し実証試験を行う。