No. | 提案課題名 | 研究代表者 [所属機関] |
参画機関 | 概要 |
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【テーマ1】原子力プラントの安全性向上・廃止措置に係る基礎基盤研究: 4課題 | ||||
1 | 新たな未臨界監視検出器をめざした核分裂高エネルギーガンマ線の測定 | 西尾 勝久 [日本原子力研究開発機構] |
日本原子力研究開発機構 | 福島第一原子力発電所の溶融した核燃料(デブリ)を解体するにはデブリが未臨界であることを保証しながら作業を進める必要がある。本提案は、ウラン235 の熱中性子入射核分裂における1~20MeV まのでのガンマ線エネルギースペクトルを測定し、6~20MeV領域の核分裂あたりのガンマ線収率を実験的に決定することにより、デブリ解体作業に不可欠となる未臨界監視検出器を開発するもので、廃止措置を着実に進める上での貢献が大いに期待される。 |
2 | 炭化ケイ素半導体を用いた超耐放射線性エレクトロニクスの開発 | 土方 泰斗 [埼玉大学] |
埼玉大学、日本原子力研究開発機構 | 一昨年の東京電力福島第一原発事故を受け、人間に代わって廃炉処理を行う探索・作業用ロボットの開発または高性能化が急務となっている。本提案は、化学的安定性が高く、高い放射線耐性を有する炭化ケイ素(SiC)半導体にガンマ線照射を行い、半導体表面や素子接合界面おける欠陥発生のメカニズムを明らかし、さらに放射線環境だけでなく高温・多湿といった複合極環境に対する耐性を検証し、多様な極環境において数MGyを超える耐放射線性を有するMOS型半導体デバイス(Siデバイスの数百倍の耐性)の実現を目指すものである。廃止措置を着実に進めるためのロボットや検出器の開発につながり、その成果が大いに期待される。 |
3 | 微小真空冷陰極アレイを用いた高い放射線耐性を持つ小型軽量撮像素子の開発 | 後藤 康仁 [京都大学] |
京都大学、産業技術総合研究所、静岡大学 | 本提案は、微小真空冷陰極アレイを光電面の背後に面状に配置して電子ビームのマトリックス駆動を行う新しい撮像素子を開発するもので、放射線に対して強く、小型・低消費電力、デジタル制御回路との親和性の良い撮像素子の実現を目指すものである。従来の撮像技術で対応できない高放射線環境下で幅広く活用することができ、その成果が大いに期待される。 |
*4 | ガラス固化体の高品質・高減容化のための白金族元素一括回収プロセスの開発 | 尾上 順 [東京工業大学] |
東京工業大学、日東電工 | 提案された数種の無機吸着材の高レベル放射性廃液中の白金族に対する吸着性と選択性は必ずしも明快でない点を踏まえ、FS研究として、吸着材の合成及び吸着分離研究に集中し、吸着挙動及び選択性機構の解明とそれによる 吸着材構造の最適化に取り組む。 |
【テーマ2】放射線影響・低減に係る基礎基盤研究: 3課題 | ||||
5 | 子ども被ばくによる発がんリスクの低減化とその機構に関する研究 | 立花 章 [茨城大学] |
茨城大学、長崎大学、弘前大学、放射線医学総合研究所 | 本提案は子ども被ばくのリスク評価に資するため、放射線医学総合研究所の放射線誘発がんアーカイブを利用し、子どもの時期に被ばくした動物、および子ども被ばくの後、異なるカロリー条件下で飼育した動物に発生したがんのゲノムの特徴や放射線被ばく後およびカロリー制限後の細胞応答を解析し、子ども被ばくによる細胞・組織の初期応答と発がんとの関連を明らかにするとともに、カロリー制限の発がん抑制に対する有効性を検証するもので、リスク評価と発がん抑制因子に関する学術的基盤を提供すること等成果が大いに期待される。 |
6 | レーザーを用いた海産物中90Srの迅速分析法技術開発 | 長谷川 秀一 [東京大学] |
東京大学、日本原子力研究開発機構 | 本提案は90Srの高感度かつ迅速な分析技術の開発に資するため、多くの核種で実績を有するレーザー共鳴イオン化質量分析法を用いた90Srに対する迅速測定の可能性の検討、同位体選択性および感度を向上させるための単一同位体イオン可視化が可能な技術であるイオントラップ・レーザー冷却法の適用、及び前処理をはじめとする試料取扱い技術についての簡便化・効率化を検討し、これらを融合させた装置開発およびその原理実証をするもので、海産物等、鮮度が要求される食品の物流過程等での活用が大いに期待される。 |
*7 | ゲノム編集技術を用いた個人の放射線感受性の定量的評価法に関する研究 | 松浦 伸也 [広島大学] |
広島大学 | 本提案においてはEBウィルスで形質転換した細胞が正常細胞と同じ性質を保持しているかどうかは必ずしも明快でない点を踏まえ、FS研究として、EBウィルス転換B細胞株が放射線による感受性の個人差の検出に本当に使用できること、即ち、個人間の差が実験誤差(同一人に由来する細胞株間の変動)よりも大きいことを確立することに取り組む。 |
*:FS(フィージビリティスタディ)選定課題