中間・事後評価結果

英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業 > 中間、事後評価結果 > 平成20年度採択課題事後評価の結果資料1 > 超高感度広エネルギー領域ガンマ線検出器CROSSの開発

原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ
若手原子力研究プログラム 事後評価総合所見

研究開発課題名(研究機関名):超高感度広エネルギー領域ガンマ線検出器CROSSの開発
代表研究者(研究機関名):中村秀仁(独立行政法人放射線医学総合研究所)
研究期間及び予算額:平成20年度〜平成21年度(2年計画) 19,988 千円
項目 要約
1.研究開発の概要 原子力施設や医学、その他において放射線源の使用が日々増加している。設計および操作における安全防護にも関わらず放射線源に関わる事故は生じうる。これらの事故ではいずれも、人々に対する影響は重篤である可能性がある。また、がん検出・良悪性度鑑別などの治療計画に反映できる情報を得るために、感度と定量性に優れる標識薬剤による陽電子断層撮影が臨床で広く使われるようになっている。このような事故・検査では、被験者および緊急作業者・医療従事者を防護するだけでなく、被験者の検査中の不安感を和らげるためにも、迅速かつ適切に判断できる高検出効率及び高分解能を持つ放射線検出器が求められる。緊急被ばく時に放出されるガンマ線や標識薬剤により放出されるγ線のエネルギー領域を考慮すると、放射線検出器を開発する上で鍵となるのは吸収過程およびコンプトン散乱過程である。これまでに開発されてきたガンマ線検出器では、検出されたγ線の吸収過程に関する情報しか利用してこなかった。しかし、散乱過程の方が吸収過程より1桁以上高い確率で発生する。本研究では、研究代表者が異分野であるニュートリノの質量検出器開発で得た経験と、新たに考案した放射線検出原理(ガンマ線再構築法、蛍光分析法)により、検出効率及び分解能を飛躍的に向上させる革新的な超高感度広エネルギー領域ガンマ線検出器CROSS の開発に取り組む。
2.総合評価
 評価:A
  • CROSS検出器の開発に関して、測定システムを具体化し、部分的に原理実証を行い、要素技術的に有益な知見が得られていること及び副産物として得られたペットボトルプラスチックの放射線による蛍光の発見はインパクトも大きく、今後の発展も期待できそうであることより優れた業績が挙げられていると評価できる。総合的な性能評価はさらに緻密に実施することが望ましい。
S)特に優れた業績が挙げられている
A)優れた業績が挙げられている
B)想定された業績が挙げられている
C)想定された業績が一部挙げられていない
D)業績がほとんど挙げられていない
3.その他
  • 若手らしくエネルギッシュに熱意と意欲を持って研究に取り組んでいるように見受けられる。研究の進め方とその達成度や結果の評価を、さらに緻密かつ論理的に進めてもらうことに期待したい。

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